契約書のひな形
契約書のひな形を配布しないのかとの質問を受けることがあります。
結論から申し上げますと、ひな形を配布する予定はありません。というのは、以前別の媒体でひな形を配布していたことがあるのですが、その経験から、ひな形の配布にメリットはなく、却ってデメリットさえありうると考えているためです。
ひな形を探される方が求めているのは、そのまま契約書として使えるものでしょう。では、弁護士等がひな形を配布するのはどうしてでしょうか?言うまでもないのですが、それをきっかけに仕事に繋がることを期待しています。仕事に繋がることを期待して配布しているので、完璧なものを配布することはないのです。そもそも、完璧なものを配布しようとしても、契約の背景事情は区々に分かれるのですべての事案に沿った完璧なひな形を作成することは不可能です。その結果、最大公約数的なひな形しか作れません。結果として、本来であれば入れるべき規定が入っていないとか、逆に問題となりかねない規定が入っていたりすることが起こりうるのです。
以前ひな形を配布していた媒体で、契約書を専門としているという弁護士が配布していたひな形を見たことがあるのですが、入っているべき規定が全く入っていないひな形でびっくりしたことがあります。また、取り扱ったことのない類型の契約書作成の依頼があり、実務上どのような事項を規定しているのかの参考にするために弁護士が配布しているひな形を有料でダウンロードしたことがありますが、これで有料は高いと思ったこともあります。
そのようなものですので、ひな形はユーザの側で適切に修正しなくてはなりません。そのひな形が自分にぴったりなのか修正する必要があるのかを判断でき、必要な場合に適切に修正できるユーザであれば、ひな形をお使いになることは問題ないでしょう。しかし、そこまでの法的素養がなく(ふつうはそうでしょう。)、適切に修正できない場合は、不測の損害を被るおそれすらあるのです。ひな形を探されるのは、弁護士費用を抑えることが目的だと思います。弁護士費用を払いたくないことはよく理解できます。しかし、通常はせいぜい数万円であり、それにより事業の機会を失ったり損害を被ったりするのはもったいない話です。
契約書は契約の根幹をなすものです。費用を無駄にケチらずに弁護士に相談することをお勧めします。